「幸未ちゃんはどうして入院してるの?」


「わ、わたし…?」


歌穂ちゃんの質問に言葉を詰まらせる。

正直に行ったほうがいいのかな?


でもそれで同情されたりするのは嫌。

だいたいみんな『かわいそう』って言うんだ。


私はかわいそうじゃない。
みんなよりちょっと体が弱いだけ。


「肺炎…かな…」


ありそうな病名を適当に言って嘘をついてしまった。


「そうなんだ。
お互い早く退院できるといいね」


歌穂ちゃんはニコッと笑った。

ごめんね。

私は自分の名前が嫌い。


“この子に幸せな未来が待っていますように”


親はそう思ってこの名前を付けた。

でも、病気の私に幸せな未来なんて無い。
病気になった時、私は自分の名前を憎んだんだ。


それに私、思うんだ。
入院してるって事はもうすぐ死ぬんだと思う。


いつかはわからないけどあと1年ぐらい生きれるといいな。


「山中さーん。検査のお時間ですよ」