『娘さんは20歳までは生きられないでしょう』


薄暗い病院の廊下のドアの向こう側でお医者さんがそう言っているのが聞こえた。


当時、まだ7つだった私は言葉の意味を理解できなかった。

公園で遊んでた私は突然倒れた。


もともと体が弱かった私はかかり付けの病院に運ばれた。


外と中との気温差や激しい運動をした後などには決まって熱を出していた。


今までと症状が違っていたらしく詳しい検査を私は受けた。

目を覚ました私は病室にいた。


周りを見ると両親がいなくて不安になった私は病院の中を探し回った。


そして診察室からお医者さんの低い声と両親のすすり泣く声が聞こえた。


そうか…


私は長く生きられないんだ。



その時はまだ幼くて「死ぬ」事がどうゆうことなのかわからなかった。


その時の私が理解できたのは「自分が病気」という事と「大人にならずに死ぬ」の2つだった。