「少女漫画とか読めばいいのに。乙女心超理解できるよアレ」


「したいと思わない…」


「えー。ちょっと試しに『俺様に逆らうとこうなるんだぜ』って言ってみてよー」


「どうもさせたくない…」


「消極的ー」


「もういい。
それ貸して、下も書くから」



喋ってばかりで動かさない手に痺れを切らしたのか、彼は日誌を掴み引っ張る。



「わあー、ちゃんと書くからー!」


返してもらった日誌は

急に引っ張られたことによってミミズみたいな線が一本入ってしまっていた。


せっかちだなあ、児玉くんは。

それを消しゴムで丁寧に消す。



「……」

「……」



なんだか凄い視線を浴びる。

そんなに児玉くんの中で
あたしは要注意人物なのだろうか…。


「あ。そういえば児玉くんはこの後部活なんだったよね」


ついつい忘れがちになってしまうが

(一応)児玉くんはバスケ部だ。


でも言っちゃ失礼だが見た目はどう見ても文化部にしか見えないのでこんな無駄話をしつつ書いてしまっていた。