【完】児玉くん色に染められそう。






児玉くんの赤い顔につられて
あたしの顔もカァアと上昇する。


それを見て彼は子供のようにハニかむ。

児玉くんによって染められた色が
ゆっくりあたしの心に浸透していった。




〝スキ〟

言われた言葉が
何度も頭の中を回る。



いくつもの視線があたしの返事を待ち構えていた。気を抜くとその視線に全身を打ち呑められそう。


唇が震える。

喉も胸も、苦しい。


そして胸焼けしそうなくらい熱い。



「…児玉くんのこと、
まだ全然知らないけど…」


「…」


「これから、色々教えて
欲しいなって…思ってる」


「、」



あたしも、児玉くんがしたように

一瞬も逸らさず彼を注視した。


感じたことのない鼓動の煩さに、どうにかなっちゃいそう。



「これから児玉くんのこと…


圭って、呼んでも…いいですか」






躊躇いながらもそう言えば


児玉くんは照れ臭そうに笑ってから




「喜んで」




そう言ったんだ―――。












fin.