「・・・・・・・ワタシさぁ、見てて分かると思うんだけど、トモダチ少ないの。 小さい頃から『ぶりっ子』って言われて嫌われてさ。 何度も直そうと思ったんだけど、染み付いちゃってる事って簡単に直らないんだよね。 だから、女のトモダチっていなくてさ」
遥がゆっくり口を開く。
「・・・・・ワタシ、嫌われ者だからさ、誰かに『好き』って言われると嬉しくてさ。 他の男だったら『あっちと別れてオレと・・・・』みたいな問題になるけど、課長は離婚とかする気ない人だし、見つからなければ誰も傷つかないと思った」
遥の言っている事に共感は出来ないけれど、他の女子社員が嫌うほど、遥は嫌なヤツじゃないと思う。
「・・・・・・でも、見つかったじゃん。 ・・・・・・その時課長と別れておけば・・・・・」
「・・・・・・・別れようと思った。 でも、課長に『好きだ』って言われたら、気持ち揺らいじゃって・・・・・。 ・・・・・流されちゃった」
確かに遥は流され易い節がある。
でも、どうして流され易いのか分かった気がする。
人に嫌われたくなかったからだろう。
自分を好きだと言ってくれる課長には特に。



