善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。







「・・・・・・・大貴もアリガトウ。 助けてくれてアリガトウ」





そう言ってオレの横を通り過ぎようとする藍。






「待って、藍」






そんな藍の腕を掴んで止める。






「・・・・・・・・大貴は助けに来ないと思ってた。 ・・・・・・・信用、無くしちゃったし。 遥が『行け』って言ったから来てくれたんだよね?? 散々遥を悪く言ったくせに、結局遥に助けてもらうなんてね。 ダサイよねー」






腕を掴んだままの手を、藍がゆっくり下ろした。






「・・・・・・・・藍だって、オレの信用無くしただろ?? オレ、コドモみたいに急に態度変えたし」





藍の目を見つめると、藍は首を小さく横に振った。





「信用の無い人間に態度を変えるのは、当たり前の事」






藍が、俺との距離をどんどん広げようとしている気がした。