「こちらはどちら様?」 「しょ、生姜焼きさんです……」 「…………」 だめだ、こりゃ。 「買い物行こう」 「よっしゃあっ」 再び元気を取り戻した響を連れて近くのスーパーへ。 生姜焼き作りたかったみたいだし、生姜焼きでいっか。 豚肉を持ったときに、ふと見えた左手。 「ふふっ」 キラリと輝く指輪。 「なににやけてんの?」 カートを押す響が怪訝そうに私の顔を覗き込む。 「なーんでもないよっ」 豚肉をかごに入れて響の背中を押した。