「と……隣じゃなくなっちゃう……」 氷の入ったグラスにオレンジジュースを注いだ響はそれを私に差し出し、部屋を歩き回る。 「うん、まぁ……隣、ではなくなるかな」 「どこに引っ越すの?私も引っ越す……」 「上、最上階」 最上階…… 家賃上がるんだよなぁ…… 「でさ、舞依」 「うん」 「ん」 え? 「なっなに?」 目の前が真っ赤に…… 「薔薇」 近すぎるっ! 近すぎて見えません! 「ばっ、薔薇?」 「プロポーズされる時は両手に抱えきれないほどの薔薇の花束がほしい、って前言ってたじゃん」