気づかないなんて、私もバカだなぁ。 「ごめん、ね」 「………………」 涙が、頬を伝う。 「もう、ひ、あなたの前には現れないから」 一度も、こっちを見てくれないなんて。 「……ばいばい」 そっと目を上げた響。 途端に、目を見開く。 「っ、舞依……」 「ばいばい、響……ごめんね」 「ちょっと待て、舞依」 待たないよ、今いい加減にしろって、言ったじゃん。 もう、響の前に現れないよ。 私は急いで部屋に帰った。