大丈夫、と言ったのに肩からかけられた上着に響の優しさと温もりを感じる。
高層ビルの中にある、高級フレンチレストラン。
「予約していた、南川です」
「南川様、お待ちしておりました、こちらへどうぞ」
案内されたのは景色が見える窓際。
響に椅子を引かれて座る。
いつもより紳士な響に高鳴る胸が止まらない。
「もうすぐ夜景だね」
もう冬だから日が落ちるのが早い。
「こうやって食事するのは、最後です」
「え?」
外を見つめる響がこっちを見る。
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