「横谷」



HRが始まり、野田くんがくるっと振り向いて私を呼んだ。



「とりあえず、数学のノートは写せた」



そう言って、私に数学のノートを返す。



「ありがとな。急いで他のやつも写すから……」



「急がなくていいよ!ゆっくりで大丈夫だから」



「……さんきゅ」



笑顔を向けると、野田くんも笑顔を向けてくれた。



野田くん、せっかくいい笑顔なんだから、ずっと笑ってればいいのに……。



なんて、おせっかいか。



「ノートに描いてあった動物さ……あれ、うさぎ?」



「へ!?」



そ、そういえば私……ノートにラクガキしたの、消してなかったんだ……!
は、恥ずかしい……。



「あ、あれはクマ……のつもりなんだけど……」



私、絵心ないからなぁ……。