「俺、見てたんだからな」
俺は心瑠に迫る。
「あの……勇吾、さ」
「なんだよ」
「私、本当に渡してないよ?あれはね、蒼空の買い物に付き合わされてたの!」
アイツの買い物?
「蒼空のお母さんね、毎年めんどくさいから蒼空にお金渡して、自分でチョコ買ってこいって言うの。
あんな女の人ばっかりのとこに男1人で行くのは恥ずかしいから、着いていって会計まで代わりにしてあげてたの!
てかそれが毎年恒例でさ……。
たぶん、チョコを渡したって言うのは代わりに買ってあげたチョコを蒼空に渡してた場面だと思うんだけど……」
え?
じゃあ……全部俺の勘違いか?
「ごめんね、ほら、ちゃんと勇吾には手作りのクッキー作ったよ」
心瑠は起き上がってカバンから袋を取り出して、俺に渡す。



