「心瑠……っ」



俺はさっきよりさらにスピードを上げた。




「はぁ……っ、はぁ……っ」




そして2位のヤツを抜かした。



あとはアイツだけ……。



アイツと俺の距離は30センチほど。



もうすぐゴール……行くぞ、俺……!



俺はさっきよりもスピードを上げ、藤堂蒼空とほぼ同時にゴールした。




「どっちだ、今の」


「2組?」


「3組じゃない?」



生徒席からそんな声が聞こえる。



お願いだ……勝っててくれ……!



『2組と3組はほぼ同時でゴールしました』



アナウンスが流れる。



『1位は―――』



思いっきり目をつぶった。