「ほんとお前、バカだな」
「え……?」
「なんで……気づかねぇーんだよ」
俺の気持ちに。
「なにに……ですか?」
鈍感な心瑠が気づくはず……ない、か。
「……なんでもねぇ。とにかく!1位になったら俺と付き合え。命令だ」
本当は命令なんかじゃなく、本当の気持ちを伝えたい。
だけど、変に心瑠を困らせたくない。
だから……ごめん。
もう少し、命令をさせてくれ。
「め、命令ですか……」
「あぁ、命令」
「う……わかりました……」
心瑠は口をとがらせながら返事した。
「よし、行くぞ。集合まであと3分しかねぇ!」
「わわ!急がないと!!!」
慌てて2人で階段を駆け上がった。