「えぇ~…」

「それはちょっと…」




なんて、そのコ達は何だか乗り気じゃない様子。

…って、そりゃそうだ。

ヘタにイジメを助けに行けば、今度は自分がイジメられる可能性が高くなるのだから。


ところがその女子、高井さんはどうやら放っておけない性格らしく、

嫌がる仲間達に怯まずに言った。




「だってさ、佐伯さんトイレでバケツの水ぶっかけられてたんだよ!?
あと蹴られたりとか散々…あれはさすがに止めないとマズイって!」




そしてそう言うと、また「ねぇ行こうよ~」って仲間達を誘う。


しかし…いくら友達でもそのお願いは聞けないらしく、

仲間達はそんな高井さんに言った。




「…行かない」

「だってちょっと、コワイし」



そう言って、お互いに「ね?」と顔を見合わせる。


すると、あたしがその女子達の会話を相変わらず予習しながら聞いていると、

高井さんは今度はその教室にいる他の女子達(あたし含め)に言った。




「みんなは!?みんなだったら、一緒に助けに行ってくれるよね!?」




そう言って、期待の眼差しであたし達を見遣る。


その瞬間、あたし以外のみんなは高井さんの仲間達と同じように「行かない」とそう言ったけど、

あたしはふいに昨日菊池先輩から言われた言葉が脳裏を過った。