へたれ王子




「!!」



えっ!?



菊池先輩の思わぬそんな答えに、あたしはちょっと固まった。


あたしが佐伯さんを助ける?

って、あの超コワイ集団の中から!?



「むっ無理です無理です!そんなことあたしに出来るわけがありません!」



あたしが思わず首をぶんぶん横に振ってそう言うと、菊池先輩はトン、と跳び箱から降りて、あたしに近づきながら言った。



「じゃあ、茉友ちゃんは見て見ぬフリをするんだ?」

「!…え、」

「そんなことしたら、茉友ちゃんだってそのイジメっこの仲間入りだよ。
それじゃあ君もそのサエキさんってコをイジメてることになる」



菊池先輩はそう言うと、あたしと同じ平均台に座った。



「…、」



…確かに、菊池先輩の言う通りかもしれない。

あたしは確かに、佐伯さんがイジメられてるのを見て、助けようとしなかった。

むしろ、誰かが止めてくれるのを待つだけで…。



あたしがそう考えていたら、そのうちまた菊池先輩が言った。




「確かに、誰かを助けるのはコワイ時もあるよ。でもそれは絶対乗り越えなきゃ。友希のためにも、一歩ぐらい、踏み出してみよう?」

「!」



菊池先輩はそう言うと、あたしにニッコリ優しく笑いかけた。