へたれ王子




はぁ…。

別れたくないよ…。





その後の授業は、佐伯さんから言われた言葉が全く頭から離れなくて、全然集中出来なかった。


不思議だ…「別れて」なんて言われる前はあんなに「佐伯さんが可哀想」とか思ってたのに、今はまだそんな気持ちがあっても絶対に別れたくない。

…だってあたしも星河先輩のことが好きだし。



そんなことを思いながら自分の席でボーっとしていると、そこへ後ろから佐伯さんに話しかけられた。




「夏野、ちゃんと考えておきなさいよ。あの話」

「…はい」




どうやら今はもういつのまにか放課後になっていたらしく、みんなはそれぞれ部活に行ったり帰ったりしている。

佐伯さんも帰って行く姿を見ると、あたしも星河先輩を迎えに鞄を持って教室を出た。









******





「星河先輩」




小さな声でそう呼んで、恐る恐る三年生の教室を覗いた。

…でも、星河先輩はどこにいるのか、またいない。


保健室にでも行ったかな。


そう思っていたら、ふいに後ろから誰かに話しかけられた。




「また友希?茉友ちゃん、」

「…菊池先輩」




後ろにいたのは、菊池先輩だった。