へたれ王子




「え…」



わ か れ る ?


…って、あたしと星河先輩が!?



「な、何でですか!」



あたしが思わずそう言うと、佐伯さんは重たい表情であたしから視線を外した。




いきなり昼休みに「夏野、ちょっと来て」と佐伯さんに言われてついて行ってみれば、何故か言われたのはその話だった。

だけどもちろん別れたくないあたしは、これは譲れなくて首を横に振る。




「そ、それだけは嫌です!譲れません!」




しかしあたしがそう言ったのも束の間、佐伯さんは必死な顔であたしに言った。




「お願い!あんたが別れてくれれば、あたしは楽になれるの!」

「!」

「クラスメイトからのイジメがなくなるのよ!」




そう言って、佐伯さんは泣きそうな顔をする。

その表情を見て、あたしはそれ以上何も言えなくなった。



…確かに、今佐伯さんが悪口をみんなに言われたりするのは、佐伯さん自身があたしの背中を押してくれたからだ。

まぁ佐伯さんだって、まさかあたしの告白が成功するとは思っていなかったけど…。

それでも最初から反対だったみんなは、今は何を言ってもきっと許してはくれない。



「…考えておきます」



あたしは佐伯さんにそう言うと、重たい足取りで屋上を後にした。