コイツはまた…懲りないな。
菊池君のそんな言葉を聞いて、俺は目を細めて菊池君を見遣る。
菊池君は、昔からそうだ。
俺が女子に告白されてそれを振る度に、その中から可愛い子を見つけては自分のものにしようとする。
…特に好きなわけじゃないくせに。
茉友ちゃんは完全に菊池君の好みのタイプじゃなかったから考えていなかったけど、
今日保健室でちょっとだけ手を繋いでるのを見たら、「危ないかも」って思った。
まぁ…一応茉友ちゃんには「気をつけな」って言っておいたけど。
コイツ…はっきり言って、俺が知らない間にも手を出しそうだ。
俺がそう思いながら厳しい視線で菊池君を見ていると、菊池君はそのうち「嘘だよ」って笑った。
「友希ったら本気にしちゃうんだからぁー」
「…お前が信用ならないんだよ、」
「嘘嘘。手なんか出さないって。俺は、友希と茉友ちゃんの恋を応援してるよ!」
「いや…別に、応援してほしくもないけど」
第一、俺は茉友ちゃんのこと好きなわけじゃないし。
(だからって、菊池君みたいな危ない奴にはあげないけど)
俺がそう言うと、菊池君は何だか意味深な笑顔を浮かべた。
「…そっか。じゃあ、俺帰るね。遅くなると姉貴に怒られるし」
「うん。そうしたらいいよ」
「じゃーねー」
菊池君はそう言って、レジの方へと向かっていく。
一方、俺は一瞬何もせずに帰りかけたけど、
すぐに新刊の漫画の事を思い出して、その棚に向かったのだった。

