へたれ王子





そしてしばらくすると、菊池君が電話を切って俺に言った。



「…ちょっと行ってくるわ」

「え?何で!」



俺がそう聞くと、菊池君はため息混じりに応える。



「買ったはずの菓子パンがないから、さがすの手伝えって」

「うわ、相変わらずだね」

「も~どうしよ~姉貴カンカンだよ~」



菊池君はそう言いながら椅子から立ち上がると、鞄を持って教室を後にした。

ちなみに菊池君の家は、学校からすぐだ。

歩いて3分。


羨ましー。



俺は菊池君を見送ると、朝礼が始まるまで寝るわけにもいかないから、眠気防止に携帯をポケットから取り出した。



…ゲームでもしてよ。



そんなことを思いながら携帯で敵をやっつけていると、ふいに少し離れた場所から女子達の声が聞こえてきた。




「友希、彼女にメールしてんのかな」

「っぽいね」




「…」


うるせーなぁ…。


茉友ちゃんは、携帯持ってないっつーの。