菊池君には、上に二人の姉がいる。
確か長女が仁菜(ニナ)ちゃん。現在24歳美容師。
んで、次女が結羽(ユウ)ちゃん。現在20歳大学生。
名前だけ見ると可愛らしいけど、二人とも怖いんだよねぇこれがまた。
だから二人の弟である菊池君は、何かとコキをつかわれている。
そして今も、きっとトンデモナイ事を考えて電話してきたに違いない。
俺があまりの恐ろしさに黙っていると、菊池君の携帯からかすかに声が聞こえてきた。
『ちょっと、大将!あんたアタシの朝ごはんの菓子パンどこに隠したのよ!』
聞こえてきたのは、長女の仁菜ちゃんの超ご立腹の声。
その声に、菊池君は顔を少ししかめながらも電話越しに言う。
「え、えっと…昨日学校帰りにちゃんと言われた通りに買って、テーブルの上に置いておいたんだけどな」
『嘘!そんなの無いじゃない、』
「あ、じゃあ棚は?リビングにある棚のとこにない?」
「…」
よくわからないけど、姉と話している時の菊池君は妙に必死だ。
でもそんな彼の姿が、同性の俺から見てもちょっと可愛かったりする。

