へたれ王子




俺がそう言うと、菊池君はじとーっと俺を見てくる。


な、なんだよ。


そんな菊池君の視線に嫌な予感を感じていると、菊池君が言った。



「その…茉友ちゃんだっけ?」

「うん」

「かわいそー」

「!」

「今頃大好きな星河先輩と付き合えて幸せだろうに、当の先輩はそんなこと考えてるだなんて」




菊池君のそんな言葉に、俺の中でだんだんと罪悪感がこみ上げてくる。



で、でも俺はあの時身の安全を守ろうと…って、それがいけないのか。


あーじゃあどうすればいいんだよ、俺は。



そう思っていたら、その時突然菊池君の携帯が鳴った。




「…げ、この音は」



今にも何かのトンデモナイ悪者が出てきそうなテーマソング。

その音に、菊池君の顔が一気に強張った。



電話をかけてきたその主とは…




「…うわ、一番上の姉ちゃんだ」




菊池君の実の姉だ。