親からは今までに何度か「持っておけ」と言われていたものの、あたしにとって携帯電話とは「リア充の遊び道具でしかない」と思っていた。

だって、カメラ機能なんてきっと使わないし、

メールなんて全然知らないし、

それに何かやたらお金がかかりそう…。


友達がいないあたしには、とにかく携帯なんて必要ないと思っていた。

…でも、もしかしてこれって、



「…す、すみません、先輩」

「うん?」



あたし、やっと本格的に携帯電話が必要になってきたんじゃないの!?



「実はあたし、携帯とかその…持ってなくて」

「え、」

「なのであの、家の電話とかなら教えますけど…」



だけどその前に星河先輩に呆れられないか不安になりながらそう聞くと、先輩は案の定あたしの言葉にぽかん、としていた。



「え、携帯ないんだ?」

「はい…」



うぅ…何だか凄く申し訳ない。