『さようならー』

「!」

教室の中から、生徒達のそんな挨拶の声が聞こえてきた。
俺は、さっきまで大丈夫だったのに、その声に一瞬にして、鼓動を高鳴らせる。
教室の中の賑やかさに、「あ、まずい、来る」なんて思っていると…

「…あれ、星河君じゃないの」
「!」

先ず始めに、教室の中から担任の先生が出て来て、先生は俺を見るなりそう言った。
…ああ先生、そんな大きな声で言わないでよ、茉友ちゃんに聞こえるから。
俺がそう思って内心慌てていると、その間に先生が言う。

「どうしたの?そんなところで。誰かに用事?良かったら呼ぼうか?」

…何て気が利く先生。けどそれはごめんだ。俺はあくまで「待ち伏せ」がいいから。
俺がそれに断ると、先生は「そう?」とやがてその場を後にした。
…よかった、すんなり行ってくれて。ここで茉友ちゃんを呼ばれたら、何だか迷子になった子供のような気分になるからな。

しかし、そう思っていると…

「っ、あれ、星河先輩がいる!」
「!」
「あ、ほんとだ!どうしたんですか、こんなところで!」
「良かったら中に入って下さいよ~!」
「…」

その時。
続いて教室から出てきた茉友ちゃんと同じクラスの女子達が、俺を見つけるなり嬉しそうな声でそう言った。
わぁ、何て大きな声。
しかもその女子達は、そんな俺に大きな声のまま言う。