へたれ王子




その後は、教室に入って一時間目の授業に備えていつものように予習をした。

時間が経てば経つほど徐々にクラスメイト達が続々と登校してきて、

最初静かだった教室が、あっという間にみんなの元気な声でいっぱいになる。

そうしていたらそのうちに朝礼開始のチャイムが鳴って、

担任の先生が教室にやって来た。


…本当に、いつもの光景。いつもの雰囲気。

この時間が今は凄く落ち着く。

…菊池先輩から離れていられるから。




だけど…




気を抜くと、いつのまにか考えてしまう。

前に田中先生から言われた菊池先輩のことや、昨日星河先輩に言われたことが…。

考え出すと自分が辛くなるだけなのに、気が付けば考えてしまっている。


……菊池先輩と田中先生、どっちが正しくて、

あたしは一体どっちを信じたらいいのかなぁ。


そりゃあ、菊池先輩の彼女として、菊池先輩のことを信じなきゃいけなかったんだろうけど。

何より、傷つきたくなかった。

そう思ってるから、いけなかったのかな…。



なんて、そう思っていると…



「おい夏野、何してるんだ」

「え、」

「次、お前が読む番だぞ」

「!!」



突如、先生があたしにそう言ってきた。

気が付くと、今は国語の時間。

どうやら今は順番に教科書を音読しているらしい。

そしてあたしが読む番になったらしいけど、ぶっちゃけ聞いてなかったあたしは、何処を読んでいいのかさっぱりわからない。


え、えっと…えっと…



そんなふうに焦っていたら、その時隣の席のコが教えてくれた。



………ふぅ~、た、助かったぁ…。