へたれ王子





俺がそこに入ると、田中先生は俺に気づくなりニッコリ笑顔を浮かべた。



「星河くん、こっち」

「…はい」



そんな田中先生の言葉に俺がそこに近づくと、田中先生はプリントを手渡しながら俺に進路の話をし始める。

就職がしたい俺は、秋の就職試験に向けて物凄く心配だし不安だから、こうやって田中先生にいろんなことを調べてもらっているのだ。

…まぁこの前、そんな俺に菊池君が「自分で調べなよ」って言ったけど、それは聞かなかったことにする。

だって、一人じゃ不安だし。





そしてだいたいの話が終わると、田中先生が言った。



「…まぁ、星河くんなら大丈夫だよ。普段から成績優秀だし校則を破ることもないから。ね?」

「それは…よく言われますけど」



俺は呟くようにそう言うと、そのプリントを田中先生から受けとる。

そしてようやく教室に戻ろうとしたけど、俺はその足をピタリと止めると、勇気を出して田中先生の方を振り向き、言った。



「…あ、先生」

「うん?」

「菊池君と茉友ちゃんの話、聞きました?」

「え、」

「…二人、別れちゃったらしいですよ」



俺はそう言うと、田中先生の次の言葉をじっと待った。