へたれ王子




だけど、俺は本気で心配してるのに、菊池君は平気な顔をして言う。



「だーいじょうぶだって、あのコはそんなことするタイプじゃないでしょ」



その言葉に、俺はちょっとびっくりした。


何を根拠にそんなこと言ってるの!?

まだわからないでしょ!

おとなしそうなタイプだからって、気軽に安心しちゃいけないと思うんだ、俺は。



「いーや、信用ならないね!」



俺がはっきりそう言うと、菊池君は「だったらあんなにヘタレ具合を発揮しなきゃよかったのに…」と呟いたのが聞こえた。



「…」



だって、バレちゃったもんは仕方ないし。

あの時は誤魔化す方法なんて思いつかなかったんだから、ヘタレを貫くしかなかったんだよ。


だけど、今更になって心配になってくる。


これも俺が“ヘタレ”だからなのかな…。



そう思ってため息をついたら、たまたまそこを通りかかった女子に「どうしたの、友希」って笑われた。


あぶねっ、ため息を聞かれてしまった!