へたれ王子




でも、思っていたことをそのまま口にしてしまったことを、今更後悔してももう遅い。

あたしがそうしていると、菊池先輩が椅子から立ち上がって言う。



「…何それ」

「…」

「“心無い言葉”?俺がいつそんな心無い言葉なんか言ったんだよ。

なんでそんなふうに捉えんの。そんなに俺が信じられない?」



菊池先輩はそう言うと、怒った様子であたしを見つめる。

その低い声に、あたしは一瞬にして動けなくなる。

自分で蒔いた種だけど、超コワイ。



「だ、だって先輩…女のコ慣れしてるじゃないですか」



それでも震える声でやっとそう言うけど、菊池先輩はそんなあたしに構わずに言った。



「あぁしてるよ。茉友よりいっぱいデートしてるし、正直彼女もいっぱいいた。
でも俺がこんなに本気になれるのは茉友だけなんだよ、」

「!」

「今まで付き合ってきたコ達より、茉友がダントツで一番好きなの。別に嘘吐いてるわけじゃないから」



菊池先輩はそう言いながら、あたしに一歩一歩近づいてくる。

その言葉に、あたしの心が少し揺れ動いた。


でも…でも、皆は「菊池先輩はやめておけ」って言う。

あたしが傷つくだけだ、と。





………もう、わかんない。

わかんないよっ…。







だから、あたしは菊池先輩が目の前に来るなり、言った。




「…て、ください」


「え?」


「先輩、




あたしと別れてください」