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その日の昼休み。
あたしは、勇気を出して菊池先輩と空き教室で会うことにした。
その教室のドアの前に到着するなりあたしは深呼吸をすると、
そのドアを思い切って開ける。
するとそこには、もう既にあたしを待っている菊池先輩がいて…。
目が合った瞬間、心の奥が一つ大きな音を出した。
「…っ…」
…落ち着け。落ち着いて、あたし。
ちゃんと言うんだ。菊池先輩に。
あたしは心で自分にそう言い聞かせながら、その辺の椅子に座って菊池先輩を横目で見る。
緊張のせいからかスカートの裾を手でぎゅっと握っていると、菊池先輩が言った。
「あの…この前の屋上でのことなんだけど、あれ…ごめん」
「…」
「茉友の気持ち全然考えないであんなことして、本当に悪かったと思ってる、」
「…」
「前にも、“もうしない”って約束したのに…本当にごめんね」
菊池先輩はそこまで言うと、チラリとあたしの方を見遣る。
その視線に、ますます緊張が高鳴る。
だけどあたしは勇気を振り絞って、言った。
「…ごめんなさい」
「え、」
「あたし、もう菊池先輩がわかんないです」
「!」
「菊池先輩は…本当にあたしのこと、好きですか?」
あたしは震える声でそう言うと、やっと菊池先輩を見た。
すると菊池先輩は、その言葉にすぐに頷いて見せる。
「うん。もちろん、好きだよ」

