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翌日。今日は祝日で、学校が休み。

だから本当なら家でゴロゴロしたいところだけど…



「話があるんだ、菊池君」

「…うん」



俺は久しぶりに、菊池君の家にお邪魔していた。

菊池君は一軒家に住んでいて、家もかなり大きい。

今日は菊池君の姉達は二人とも留守みたいで、家中が不気味なくらい静かだ。


俺がそう切り出すと、菊池君は俺から目を逸らしたまま頷いて言葉を待った。



「茉友ちゃんのことなんだけど」

「うん」

「菊池君、昨日何で茉友ちゃんのこと傷つけたの、」



そう言って、張り詰めた空気のなかで俺は菊池君を見遣る。

この緊張感のある雰囲気がなんとも言えない。

(って、作ったのは俺か?)

俺がそう聞くと、菊池君が言った。



「…何でって、好きだからに決まってるじゃん」

「!」

「でも、昨日のことは確かに俺が悪かった。凄い反省してる」

「…」

「ごめんね、友希まで巻き込んで」



菊池君はそう言って俺を見ると、かすかに苦笑いを浮かべる。


…違うよ、菊池君。

俺は巻き込まれたんじゃなくて、自分から首を突っ込んだの。

茉友ちゃんのことが心配だから。


でもその心をしまい込むと、俺は菊池君に言った。



「いや、それはいいけどさ。茉友ちゃん泣いてたから」

「…」

「早めに謝っときなよ」