「!」
夏野さん…?
って、確実に茉友ちゃんのことだよな。
…忠告?何の話だ?
俺は田中先生のその言葉に首を傾げながらも、とりあえず先生に話しかけた。
「…先生、ちょっといいですか?」
でも、田中先生は聞こえていないのか返事をしない。
そんな田中先生に、俺がもう一度声をかけようとした、その時…、
「!!」
窓の外で、仲良く一緒に帰っている菊池君と茉友ちゃんの姿が視界に入った。
二人は幸せそうに微笑みあっていて、しかも手まで繋いでいる。
…俺は、茉友ちゃんの手すら握れなかったのに。
そう思って、俺がその二人の様子に思わずため息を吐きかけた、その瞬間…
「!!っ…ほ、星河くんっ?」
「!」
ちょうど俺の方を偶然振り向いた田中先生が、ようやく俺の存在に気が付いてそう声を上げた。
そして田中先生はやっぱりさっきの俺の声が聞こえていなかったようで、ちょっとびっくりしたような顔をする。
「あ、田中先生。進路のことでちょっと相談が…」
俺が気を取り直してそう話し出すと、田中先生が少し慌てた様子で言った。
「星河くん!」
「…はい?」
「聞いてた?さっきの、」
「…さっきの?」
「あたしの、独り言…」
田中先生は俺にそう問いかけると、不安そうな顔をする。
そんな田中先生に、俺は「聞いちゃいました」と言いかけたけど…。

