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それから、あたしはようやく進路指導室を後にした。
そして独り重たい足取りで、そのまま菊池先輩が待つ生徒玄関に向かう。
あぁ…何か、嫌な話聴いちゃったな。
なるべくなら信じたくないし、「そんなわけない」ってわかってるけど…。
なんかこう、皆にそんなことを言われるとちょっと不安になってくる。
……菊池先輩に限ってそんなこと、あり得ないよね?
そう思いながらようやく生徒玄関に辿り着くと…
「ばいばい、美帆ちゃん」
「うん。じゃーね、また明日」
そこで、三年生の女の先輩とそう言葉を交わす菊池先輩を見つけた。
…菊池先輩…。
先輩は、その人に笑顔で手を振っている。
そのちょっとした姿に、少しの不安が募る。
…いや、でも…今のはただ単に挨拶を交わしただけ。
何も心配なんかすることはない。
あたしは自分にそう言い聞かせると、菊池先輩に声をかけた。
「菊池先輩!」
あたしがそう声をかけると、先輩はふんわりした優しい笑顔であたしを見遣る。
「あ、茉友」
「!」
…ま、茉友って…。
やっぱり呼び方変わった。
なんか、すっごく照れるな。
そう思いながらも、あたしは目の前の菊池先輩に問いかけた。
「結構待ちました?」
「ううん。ってか、友達といたからそんな待った気してない、」

