…………
「では、先輩。また明日」
「うん。じゃあね」
そしてそれから菊池先輩に家の前まで送ってもらったあたしは、
そう言って菊池先輩に手を振った。
結局、菊池先輩の他の彼女さんのことは聞けてない。
そう思いながら手を振っていたら、先輩が突如そんなあたしの手首を掴んで、
そのままあたしを抱きしめてきた。
星河先輩と付き合っていた時には絶対にあり得なかったその行動に、思わず顔が熱くなって真っ赤になる。
「き、菊池先輩…?」
「うん?」
「どうしたんですか?」
ぎゅう、と抱きしめられてドキドキしながらそう言うと、
菊池先輩はあたしの耳元で言った。
「…ううん、何もない、」
「?」
「ただ、茉友ちゃんに触りたかっただけ」
「!!」
さ、触りっ…!?
その言葉にあたしが更に顔を赤くしていると、菊池先輩がようやくその腕をほどく。
「…っし、充電完了。じゃあね、“茉友”」
「!!」
菊池先輩はそう言ってあたしに手を振ると、満足そうにあたしの家の前から離れて行った。
…ま、茉友だって。
下の名前を男の人に呼び捨てにされたのって、初めてだ。
あー、ヤッバイ。
すんごいドキドキするよ~。

