「あ、あの…菊池先輩」
「うん?」
気になる。
この前高井さんから言われた言葉が。
“菊池先輩は、凄く遊んでるって有名だよ”
“色んな女の子をターゲットにして、その子が自分のものになるまであの手この手でひきつけるんだって”
“で、顔だけで選ぶから合わなかったらポイして、相性が良かったら何股でもして付き合うんだよ”
菊池先輩が、あたしのことをターゲットとして見ていないことは信じる。
ただ、
“何股でもして付き合うんだよ”
それが、なぁ…なんだか心配だ。
もしかして菊池先輩は今、あたしの他にも付き合っているコがいたりして…?
あたしが独りそう思っていると、なかなか言葉を発しないあたしに菊池先輩が聞いてきた。
「どうしたの?茉友ちゃん、」
「え!?あっ…、」
「なに?」
「えっと…」
少し挙動不審になってしまうあたしに、菊池先輩が首を傾げてあたしを見る。
い、いいのか?普通にそんなこと聞いちゃっても。
“菊池先輩って、あたしの他にも彼女いるんですか?”なんて…。
………やっぱ無理。それはやめた。怖い。
「も、もうちょっとで春も終わりですね~」
あたしが窓の外に目を遣りながらそう言ったら、菊池先輩は
「そうだね」
って、優しい声でそう相槌を打った。

