茉友 side
「別れるなら今のうちだよ」
「え、」
放課後。佐伯さんに呼び止められて、何かと思えばそう言われた。
びっくりして佐伯さんを見ると、隣にいた高井さんが言う。
「夏野さん、絶対騙されてるよ。菊池先輩が本気で恋するわけないって」
「…」
佐伯さんと高井さんはそう言うけど、あたしにはそんなふうには思えない。
だって…だって菊池先輩は…付き合うってなった時、あんなに喜んでくれてた。
それなのにあれが嘘で、演技だったなんて…それは考えにくい。
「で、でも…あたしは菊池先輩を信じますよ」
あたしがそう言うと、佐伯さんは納得のいかないような顔をして言う。
「…あとで傷つくことになっても知らないからね」
そう言って軽くため息を吐いて見せると、二人は他の友達と一緒に帰って行った。
すると…
「茉友ちゃん、」
「菊池先輩…!」
その時、教室に菊池先輩が迎えに来た。
これからはなるべく毎日一緒に帰ろうってことになったのだ。
菊池先輩は学校から歩いてほんの数分の場所に家があるらしいけど、毎日色んな場所で用事を済ませてから家に帰るため、日によって帰り道が違うらしい。
なんの用事があるのかは聞いてないけど、それはあえて聞かないことにした。
…大事な用事なのかもしれないし。
だけど。
それはいいんだけど………。

