へたれ王子




それからは普通の一日を過ごして、俺は約束通り田中先生がいるだろう資料室に向かった。


忘れちゃいけない。

田中先生と「これから毎日資料室の掃除をする」って約束をしたんだ。



「失礼しまーす」



そう言いながらそこにはいると、田中先生はもう既にそこにいて…



「じゃあ始めますか」



俺がそう言ってその辺に鞄を置くと、田中先生が言った。



「…星河くん」

「はい?」

「せっかく来てくれたのに悪いんだけど」

「?」

「もう、掃除はしなくていいや」

「えっ」



田中先生は資料室にある椅子に腰かけながらそう言うと、

チラリと俺に目を遣る。

思わぬ田中先生のそんな言葉に、俺は一瞬「帰れる!」と内心喜んだけど、首を横に振って田中先生に言った。



「な、なんでですか!だって、教頭先生に頼まれたって…」

「そ、そう…なんだけど。とにかく、もう手伝わなくていいよ。だから、早く家に帰りな?」



田中先生はそれだけ言うと、半ば強引に俺を資料室から追い出す。

もともと早く帰りたかった俺は、今すぐ帰れるから大歓迎だけど、突然変わった田中先生の態度に頭の中は「?」だらけ。

そして田中先生は資料室のドアを閉めると、そこにこもってしまった。



「?」