へたれ王子




「…そ、そっか」



なんだ…?



「よかった、じゃん?菊池君、茉友ちゃん好きだったんでしょ?」

「うん、」



付き合い始めたのはさっき見ただけでわかったのに、

いざ面と向かってそう言われると、何故かショックが大きい。

でも何とか笑顔を浮かべてそう言うと、菊池君は幸せそうに頷いた。



ズキッ…



痛い…胸の奥が酷く痛い。

菊池君は、俺と茉友ちゃんが付き合ってる時、こんな感じだったのか。


そりゃあ、奪いたいって、思うよな…。


俺がそう思いながらやがて菊池君から離れると、クラスの女子数人が俺に話しかけてきた。



「ちょっと友希、あれいいの?」

「あれって?菊池君?」

「そうだよ!彼女だったコを取られたんでしょ?さいあく、」

「友希かわいそ~」



女子達は俺を気遣ってそう言ってくれるけど、俺としたら菊池君も茉友ちゃんも大事な存在だ。

だから二人を憎んだりなんかもちろん出来ないし、そんなこと思いたくもない。



「…俺なら全然大丈夫だから。それに、茉友ちゃんとはもう別れたんだし、関係ないよ」



俺がそう言って笑顔を作ると、その女子達は



「無理しないでね、友希」



って、そんな優しい言葉をかけてくれた。