へたれ王子



そして校舎の中に入って靴を履きかえると、俺はそのままその二人の後を追った。

二人を追いかけて何をするのかは自分でもわからなかったけど、気が付けば心より足が先に動いていた。



でも…



「あ、ねぇ友希!」

「!」



その時、俺の存在に気が付いた同じ学年の女子数人が話しかけてきて、言った。



「あの二人って、付き合いはじめたの!?」



そう言って、少し前に歩いている菊池君と茉友ちゃんを指さす。

二人は仲良さげに手を繋いでいて、何を話しているのかはわからないけれど、

何やら楽しそうに笑っている。

それはもう幸せそうに。


やっぱり…あんなに楽しそうな茉友ちゃんの笑顔、俺は見たことがない。


俺はその女子の言葉に、なるべく普通通りの笑顔を浮かべて言った。



「さ、さぁ。まだ菊池君からは何も聞いてないからわからないよ」

「…そっか」



ちゃんといつもと同じ笑顔を作れているのかはわからないけど、俺はそう言うと二人に続いて教室に向かった。






・・・でも。





「友希」

「!」



菊池君は俺が教室に入るなり、言った。



「あの…俺、茉友ちゃんと付き合いはじめた、」



菊池君はそう言うと、少し照れくさそうに笑った。