「せ、せんぱっ…」
「うん?」
菊池先輩を見た瞬間、昨日のキスのことが頭を過る。
目が合った途端顔が熱くなって、あたしは思わず菊池先輩から顔を背けた。
なのに菊池先輩はあたしが座っている席の隣に座ると、
まるで昨日のキスのことなんて気にしていないように平然としてあたしの方を見る。
な、なんで菊池先輩は平気なのっ…?
そう思って、さっきから騒ぎまくっている心臓の音を必死で抑えていると、菊池先輩が言った。
「…ごめんね、茉友ちゃん」
「!」
「今日は、変な噂とか立てられて困ったんじゃない?」
「あ、いえ、あのっ…そ、」
「?」
思い出しちゃったら余計に話しづらくなるだけなのに、あたしの頭の中はどうしても昨日のキスシーンがちらつく。
こんなんじゃ菊池先輩に不思議に思われちゃう。
でも、どうしたらいいの…?
あたしがそう思って挙動不審になっていたら、菊池先輩がふいにあたしの目元に指を遣って言った。
「…茉友ちゃん」
「!」
「もしかして、泣いてた?」
「!!」
そう言うと、あたしの涙を優しく指で拭う。
その行動にもまたびっくりしてキョドっていたら、菊池先輩が言葉を続けて言った。
「…さっき、友希からメール来て知ったんだけど」
「…」
「二人、別れちゃったんだって?」

