茉友 side
菊池先輩にキスされた後、あたしはしばらくその場から動けなかった。
さっきまで頭の中に巡っていた星河先輩と田中先生のことはすっかり消えて、
今は菊池先輩とのキスシーンだけが、頭の中をぐるぐる巡っている。
“…マジで、奪っちゃった”
「…っ、」
菊池先輩…どうしてキスなんか…。
…そう思っていると。
「あれ、星河くん?」
「!!」
すぐ近くで、女の人のそんな声が聞こえた。
え、星河先輩?
そう思って声がした方を見てみると、そこにいたのは保健室の山下先生で。
山下先生は何やら柱のほうに目をやって、言った。
「…あら大変。気絶しちゃってるわ、」
「!」
山下先生のそんな言葉を聞くと、あたしはすぐに山下先生の傍に駆け寄った。
「どうかしたんですか?山下先生」
「あ、夏野さん。ちょうど良かった。星河くんがこんなところで気絶してるのよ」
「!」
「一緒に運んでくれないかしら、」
その言葉に慌ててそこに目を遣ると、そこには本当に星河先輩が柱に寄り掛かりながら気絶している姿があった。

