へたれ王子




「…ここの掃除は、誰かに任されたんですか?」



俺がそう聞くと、田中先生は「うん」と頷いた。



「教頭先生に任されちゃった。この資料室の担当、あたしになっちゃって」

「…へー、」



その言葉に、俺の中の良心が少し動く。

…いや、でも放課後にこれはちょっと。

第一、俺が手伝っちゃ茉友ちゃんを待たせることになるし。




……茉友ちゃん?




「…あ」

「?…どうかした?星河くん」

「あ、いえ、何でもありません!」

「?」




俺は田中先生とそう言葉を交わすと、ちょっとだけ先生に背を向けて独り考えた。


今、そういえば茉友ちゃんとちょっと気まずいんだったな。

それだったら一緒に帰るのもいちいち緊張しちゃうっつーか、

気を遣っちゃうし、もういっそのこと田中先生の掃除を手伝って、

しばらくは一緒に帰れないことにしておいた方がいいのかも…。




俺はそう思うと、田中先生に笑顔を向けて言った。




「田中先生、」

「うん?」

「俺、やっぱ手伝いますよ!」

「え、」

「掃除、大変なんですよね?だったら放課後、これから毎日手伝います」




俺がそう言うと、田中先生は一瞬にして嬉しそうな笑顔を浮かべて言う。




「本当に!?」