……………




カラオケでのことを話し終えると、

佐伯さんがあたしの目をみてはっきり言った。




「それ最悪」

「え、星河先輩がですか!?」

「いや、アンタのこと言ってんのよ」




佐伯さんはそう言うと、びっくりするあたしをじとーっと見てくる。

最悪、なんて…言われると思ってなかったな。


そう思って「何でですか?」って不安混じりにそう聞くと、

佐伯さんがメイク道具を鞄にしまいながら言った。




「あのねぇ、キスを避けるとかそりゃ傷つくに決まってんでしょ!」

「え、」

「ってかだいたいアンタね、あの星河先輩と付き合ってるんだから、
もっと堂々としなさいよ!じゃなきゃすぐ他の誰かにとられるよ!」

「!」




…そっか。そんなもんなのか。

じゃあ、あたしは完全に星河先輩を傷つけたってわけだ、



「…すみません」

「いや、あたしに謝られても困るんだけどさ」



あたしがそう謝ると、佐伯さんは次の授業の教科書を取り出しながら小さくため息をつく。



だけど…



「お話聴いてくださってありがとうございます、」



あたしがそう言って軽く会釈をすると、佐伯さんは少し照れたようにして言った。



「べ、別にお礼なんかいらないって言ってんでしょーが!」