…あ、でも…


いいのかな。

だってこの前星河先輩…。



「茉友ちゃん、行くよ」

「あ、はい!」



菊池先輩と二人でいることを迷っていたら、そのうち菊池先輩にそう言われて、あたしは先輩の隣にならんだ。

…そして、そんなあたしを見て、菊池先輩が静かに微笑んだことに、あたしはもちろん気がつかない。


だけどあたしは、土曜日の星河先輩とのデート中に起こった出来事を菊池先輩に相談したくて、ゴミを探しながら言った。



「…菊池先輩、」

「うん?」

「この前、デートの服選んでくださって、ありがとうございました。星河先輩に結構評判良かったです」

「あ、そうなんだ」

「で、あの、またちょっと相談なんですけど…」



あたしがそう言うと、菊池先輩が一つだけ見つけたらしいゴミを清掃トングで拾いながら言う。




「うん、どうしたの?」

「実はあの…この前のデートの最中に、星河先輩がどっか行っちゃって…」

「…」

「で、そこから3時間くらい戻って来なかったんです」

「…そう、」




あたしが不安いっぱいでそう言うけど、何故か菊池先輩の表情はあまり変わらない。

そうかと思えば、菊池先輩は足元のゴミを探しながら言った。




「でも、それって友希にとっては普通のことだよ」

「えっ!?」

「まぁ…不安に思うかもしれないし、びっくりしたと思うけど、でもアイツ、俺と遊んでる時でも普通に黙って帰ったりするからね」

「!!」



菊池先輩はそう言うと、特に気にした様子もなく笑った。