能ある鷹は爪を隠すって言うけれど。
ホント、そうかもなあ…。
ぼんやりと…
数ヶ月前を、思い出す。
3年生最後の大会。
ウィンターカップに駒を進めた…男子バスケ部。
その、一回戦は…
優勝候補筆頭の…強豪チーム。
善戦したものの、力は及ばず……。
ゲームメーカーだった桐山は、他の3年生が泣き崩れる中で。
ひとり、毅然として…コートに立ち尽くしていた。
何を思っていたのかは……わからない。
ただ、じっくりとその光景を焼き付けるようにして…
ゆっくりと…周囲を見渡して。
じっと…
拳を握り締めていた。
私は…知っている。
その後、冬休み中の部活の後にも。
独り残って…、練習に励んでいたことを。
そう……、
キャプテンに任命された、あの日も……。
しんしんと静かに降り注ぐ…雪のように。
降り積もる思いが…
あったのかもしれない。
寒いのが苦手なのか、時折…はあっと吐息で手を温めて。
また……ボールを掴む。
白くなる息、
乱れる呼吸……。
外が大雪だって…構うことはなく。
人知れず、努力を重ねていく…
静かで、強かな…
真の、姿。


