桐山の、妖艶な顔が……すぐ、そこに。


後ずさる私を阻むのは、道端の…、ブロック塀。


太陽で温められた熱が……背中に、じわりと…伝わる。




君の長い手が延びてきて。

スッと…顔を掠めていく。



益々…身動きなんて出来ない。



「……アンタだよ。」






額に触れた、唇の熱が……



真夏の、喧騒を……忘れてさせるかのように。



熱く、深く……



全身に…行き届いていた。






「……爪を隠すんじゃ…ないの?」


「アンタが挑発するから。」


「……?!」


「ディフェンスを避けるフェイダウェイはやめて、ペネトレイトに。…ゴール下には…船橋が待っていた。ただ、それだけ。……苦手を攻略するための…作戦だ。」



「………馬鹿、十分個人プレーだし!」




君が近づいた…

夏だった。