仲間の活躍を、ベンチで見守りながら……
名前を呼ばれるのを待って、そわそわと…手を擦り合わせる。
第3クォーターで、大量リードを奪う。
第4クォーターに入る前の短いインターバルでついに、「船橋、ウォームアップしとけ。」と。
監督から…言われて、
敵の戦術を見極めることさえ忘れて、高揚する気持ちをなんとか落ちつかせながら、ストレッチをしたけれど……。
事態は…一変。
敵の脅威の追い上げが始まり、その奇襲戦に…、次第に監督の顔にも…焦りが出てくる。
「……。船橋…、お前なら…どう見る?」
「……え?」
「見てただろう?スイッチ入って、オフェンスが翻弄されてると…思わないか?ダブルチームで、西方にプレッシャーかけてる。ここに来て、2つ目の…オフェンスチャージングだ。」
「………。」
何も…
言えなかった。
最後の最後まで、出番なんてなくて。
監督が求めたのは……私のプレーじゃなくて。
客観的な…意見。
ポキリ、と……。
心が折れる音が。
聞こえた気がした。