「…………」


「…………」



麻衣はそぉっと後ろを振り返ると、窓に張り付くサロンのみんな。
二人を凝視していて、さすがのカイトもうわっ!と声を上げた。


「~~っ!!……もう開店時間だから戻るね!カイトごめんね」

「いや俺こそごめん!行くわ!とりあえずさ、麻衣ちゃん、時間あったら連絡して」


「あ、う、うんっ」


カイトは約束した551の肉まんを麻衣に渡すと、帰って行った。


あんなに細身だったかな


あんなに、大人っぽかったかな



たった一週間が…

一週間も、になった気分…


後ろ姿を見送ると、ニヤニヤしながら待つみんながいるサロンへ戻った。













…………………






……………





「…………っ」


日差しはカーテンの隙間からとうに差し込んでいる。
外は子供の声や人が通る雑音がする。
それより何より、今はこの耳元で鳴るバイブが本当にうっとおしかった。
スマートフォンの画面に指が触れ、バイブが止まると時間をみた。




12時…起きるか




龍之介はノソッと起きあがった。
ここはソファの上。
ベットがあるのに何でこっちで寝てるのか…自分の意志でベットに行かなかったなんて有り得ない。
布団までたどり着けなかったくらい疲れてるなんて初めてだ。

というか、こんなことあるんだな



シャワーを浴びて、服に着替えた。


【おはよう。仕事頑張ってね】



その二言とセンスがいいとは思えないふざけた絵文字スタンプ。
もうちょっと絵文字を入れるとか、可愛いスタンプにするとかないのか。


まぁあいつらしいけど



目覚めのコーヒーを飲み終わると、そそくさと厚手のジャンパーを羽織った。




今日はクリスマスイヴか…



そう思いながら玄関を出て鍵をかけてると、小さいうなり声と足音が近付いてくる。



「…!?カイト…?」


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