それから学校の門が見え始めるまでの5分間、私は終始、無言を貫いた。



『どうにか、間に合ったようだね。今56分だから、急げば間に合う』


「はい!本当にありがとうございました!とても助かりました」



瑞希さんに何度も頭を下げて車をおり、窓ガラスごしにもう一度頭を下げる。



『圭はちゃんと職員室までの道を教えてあげるんだよ?世玲菜ちゃんはまだここに来たばかりで、右も左もわからないんだから。それも紳士の務めだよ♪』


『……』



圭くん、すっごく面倒臭そうな顔して瑞希さんを見てる。


なんか、申し訳ないな…。



「わ、私なら平気です」


何より、まだ若干気まずいし。



「えっと、その、圭くんまで遅刻しちゃうし、私のことは放っておいて…」



『いいねー?圭』


『…うん』


『じゃ、また会おうね!またね、世玲菜ちゃん♪』



私の言葉も聞かずに、瑞希さんはそのまま豪快に車を飛ばして消えてしまった。



……は、ははは。


う、うん。お言葉に甘えておこう…。