「…お姉ちゃんの馬鹿。」


昔話に自分がこんなにも絡んでいたのが恥ずかしいのか、妃奈は顔を赤くしている。


そんな妃奈も可愛いから、いつまでも眺めていたい。


「そういえば、お姉ちゃんが宿題をしてて、何してるのかって聞いたら…あたしを題材に英作文がどうたらこうたらって言ってた…」


「多分、それだな。」





「聞くんじゃなかった。」


「知らぬが仏ってやつか。」


「だって恥ずかしいじゃん!
皆がドン引きするぐらい長く話してたんでしょ!?」


その通りだ。


「まあな。
でも長すぎて、最初の方しか聞いてない人が大半だと思うけどな。
いくら真面目の集団とはいえ、最後まで聞いてられないだろ。」


「そうかもしれないけど…」


綾香も祥太郎も、最初の5分で脱落したんだ。


俺だって、最初の10分も聞いてない、


「それにさ、玲奈があのスピーチをしなかったら、俺らはこんなにも仲良くなってなかったと思うんだ。」


「うん。」


「で、仲良くなってたとしても、妃奈と会えたかどうか分からねえだろ?」


「…確かに。
お姉ちゃんのおかげで、あたし達は出会えたんだもんね。」


「ああ。
だから、馬鹿とか言ってやるなよ。
少なくとも俺は、玲奈のおかげで凄く幸せだ。」


「…あたしもだよ。
昴とこうやって一緒にご飯食べられるんだから。」


お互い、自然と頬が緩む。


「一年後には3人でご飯だな。」


俺は妃奈のお腹を見て言った。


「そうだね。」


妃奈が優しくお腹を撫でる。


その手つきは、母親が子供の頭を撫でるようだ。


7か月後に増えるであろう家族に、俺は笑いかけた。




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Third story end