それから間もなくして、俺は滝沢玲奈と話す機会を得た。


祥太郎が前から可愛いと言っていた中井綾香という子と仲良くなった。


中井さんと滝沢玲奈は友達で、4人で昼ご飯を食べる事になった。


「へー!
俺と綾香ちゃんの地元近いじゃん!
俺行った事ないんだけど、今度案内してよ!」


祥太郎は、青春を満喫しているようでとても楽しそうだ。


「いいよ!
4人で行こう!」


「4人?」


中井さんはこの時既に彼氏がいたんだとか。


本人の口から聞いたのは後の話だが、何となくそうだろうなと思った俺は、心の中でドンマイと言いながら、滝沢玲奈に話しかけた。


「滝沢さんってさ」


「玲奈でいいよ!」


「玲奈?」


「うん?」


「玲奈ってさ、この前の英作文の宿題の時にスピーチしてたじゃん?」


「妃奈がどうしたの!?」


玲奈は目を爛々と輝かせながら、俺の話に食いついてきた。


正直、驚いた。


俺は玲奈の妹の話がしたいんじゃなくて、玲奈がどんな子か知りたいと思っただけなんだ。


それは祥太郎が中井さんに抱くような甘酸っぱいものではなく、友情を育む為に相手の事を知ろうという単純なものだ。


「否、そうじゃなくて」


「え?
妃奈の話じゃないの?」


玲奈の瞳の輝きが失われた。